MetaのMuseは、数週間にわたる試用で日々の雑務を役立つ形でこなしましたが、すべてのタスクを単独で確実に終えられたわけではありません。カスタマーサービスの保留を待ち、銀行の取引を整理し、重複していた定期購読を解約しました。一方で、複雑なサインイン、ボット判定、ある小売業者による購入手続きの阻止があり、人が対応すべき作業が残りました。Museはチャットボット以上の存在ですが、アカウントや購入を見守る人の代わりにはなりません。
Museが時間を節約した場面
MuseはAIエージェント、つまり回答を生成するだけでなく、利用者に代わって行動できるソフトウェアです。この試用では、ある技術担当の記者が個人のメールアカウント、カレンダー、金融口座を接続しました。Museは予定を入れ、食料品を注文し、合成音声によるオリジナルの音声ポッドキャストを作りました。これらのタスクは、チャット欄に打ち込んだ依頼だけでなく、関係するサービスや情報へのアクセスがあって初めて成り立ちました。
電話機能は、歯科保険の問い合わせに対応しました。Museは自動音声メニューを進み、問い合わせに必要な情報を伝え、15分間の保留を待ちました。担当者が電話口に出ると、利用者につなぎました。エージェントの役割はその会話を置き換えることではなく、会話が始まるまでの待ち時間を肩代わりすることでした。

▲ 電話の待ち時間と定期的な支出の見直し
Museは銀行の取引をスプレッドシートにまとめ、忘れていた定期的な請求も見つけました。重複していた定期購読をいくつか解約し、この利用者1人で月$40以上を節約しました。これは試用での結果であり、ほかの利用者が同じ節約額を期待できる数字ではありません。重要なのは、Museが請求を見つけた段階で止まらず、解約までやり遂げた点です。
個人の情報へのアクセスがタスクを可能にした
Museは、接続したサービスに加えて、Metaのアプリ内の情報も使えました。たとえば、保存したInstagramのリールからレシピのアイデアを拾い、食料品の配達注文の材料に変えました。Instagram、Facebook、WhatsAppを含むMetaのアプリ群の1日の利用者は30億人を超えます。この規模は個人に合わせたエージェントが届きうる範囲の大きさを示しますが、この試用で実際に役立ったのは利用者自身の情報へのアクセスでした。
同じアクセスが、AIエージェントを検討する人に選択を迫ります。カレンダーと受信箱は予定の調整に役立ち、金融の記録は定期的な支出を見つけるのに役立ちます。しかし、それらを接続することは、どれだけの個人情報をエージェントの手の届く範囲に置くかを決めることでもあります。この試用では、利用者は個人用のメールは接続した一方、機微な資料を守るために仕事用の受信箱は切り離しました。
金融口座は、支払いカードの画像を共有するのではなく、第三者の金融サービスであるStripeとPlaidを通じて接続されました。利用者はこれらの接続を比較的安全だと考えつつも、私的なやり取りや家計に広くアクセスさせることには慎重であるべきだとしていました。人によっては、このプライバシーの判断が利便性を上回るかもしれません。
エージェントが止まった場面
独立系の映画館やレストランの予約で使われるような簡単なWebフォームは扱えました。AMC Theatresでのチケット購入は違いました。ボット判定や、2つ目の確認コードを求めるサインインが手続きを中断させ、利用者が介入しなければなりませんでした。2つ目の確認手順はパスワードに加えた追加の確認で、エージェントが正しいページにたどり着いていても、タスクの完了を妨げることがあります。

▲ 購入手続きでの人の介入
Amazonは、自社の小売サイトでMuseが購入を完了することを阻止するという、別の壁になりました。難しいフォームとは違い、外部のエージェントによる購入手続きをプラットフォームが拒む場合、利用者がエージェントにより明確な指示を出しても解決できません。この試用では、Webサイトの防御と小売業者のルールの両方が、自動化の範囲を制限しました。
ソフトウェアの失敗とは関係のない限界もありました。MuseはFacebook Marketplaceで中古の食器の値段交渉をしましたが、利用者はそのやり取りをエージェントに任せることに違和感を覚えました。エージェントはやり取りをこなせましたが、そうすべきかどうかは、相手と直接やり取りすることの価値に関する別の判断でした。
次に何を任せるか
Museが最も役立つのは、時間はかかるものの最初から最後まで人がいる必要のない事務作業、たとえばカスタマーサービスの順番待ちや定期的な請求の確認のようです。試用した利用者は、保留の待ち時間や駐車違反の反則金の支払いに今後もMuseを使う予定です。認証の壁があるWebサイトでの買い物や予約には、まだ手作業での介入が必要かもしれません。また、自動化が機能するとしても、人と人との交渉は人が担う価値があるかもしれません。
エージェントを接続する前に、特定の作業にどのアカウントが必要かを決めましょう。機微な仕事用メールを手の届かない所に置くことと、実績のある金融の仲介サービスを使うことが、この試用での2つの線引きでした。中心となる教訓は、Museに明確な仕事を与え、どこで止まるかを確かめ、任せたくない情報ややり取りの主導権を手元に残すことです。