Claude Opus 5.5では、プロンプトをより選択的に使い分ける姿勢が求められます。デフォルトのeffort設定が変わったため、「もっと深く考えて」といった従来の指示は、効果がないまま応答を遅らせるおそれがあります。より役立つのは、モデルが何を確認すべきか、外部の資料をどう扱うべきか、完了したタスクに何が含まれていなければならないかを明示する変更です。Anthropicのプロンプトガイダンスは8つの調整点を挙げていますが、すべてのタスクに8つ全部が必要なわけではありません。
effortと思考指示を見直す
1. Mediumのeffortから始める
effortは、モデルが回答を出す前に内部でどれだけ思考するかを制御する設定です。Claude Opus 5のデフォルトはHighでしたが、Claude Opus 5.5のデフォルトはMediumです。AnthropicはMediumで評価を始め、自分にとって重要なタスクで試したうえでのみeffortを上げるよう勧めています。同社のガイダンスによると、Claude Opus 5.5のMediumは、多くのコーディングと知識のベンチマークでClaude Opus 5のHighと同等以上の結果を出しています。
これはHighが無意味になったという意味ではありません。Claude Opus 5から引き継いだ設定は、改めて試す必要があるということです。effortを高くすると1回の応答が長くなり、出力トークン(利用料金に影響するテキストの単位)が増えることがあります。開発者は、extra-highやmaximumのeffortを、品質の向上を測定できる作業に限って使うべきです。

▲ effort設定と出力
2. 「もっと考えて」という曖昧な指示を削る
システムプロンプト(会話全体に適用される常設の指示)には、今も「回答する前によく考えて」といった言い回しが残っているかもしれません。Anthropicのガイダンスで紹介されたテストでは、汎用的な思考指示を削除すると、品質を落とさずに応答の最初の部分が早く届くようになりました。思考の深さはすでにeffort設定が制御しています。求める成果物を名指しするといった具体的な要件のほうが、より深い思考を漠然と求めるよりもモデルにとって有用な指針になります。
短い追加の質問にも、関連するトレードオフがあります。Claude Opus 5.5は、新しい依頼が短くても以前のやり取りを見直すことがあります。ユーザーが見直しを求めるか誤りを指摘しない限り、以前の回答は確定したものとして扱うよう常設のルールで指示できます。これで重複した作業は減らせますが、新しい根拠によって以前の結論を改めるべき調査タスクには向かない場合があります。
接続したエージェントにコンテキストと境界を与える
3. 行動する前に関連する情報源を調べさせる
エージェント型のワークフローでは、モデルがツールを使ってファイルやアプリケーションをまたいでタスクを実行します。Claude Opus 5.5はすぐに行動に移ることがあるため、最初に見つけた文書が最新の情報源でない場合にリスクが生じます。たとえば、プロジェクトの企画書では締め切りが月曜日なのに、後から届いたメールで金曜日に変更されている場合です。そのため指示では、エージェントが変更を加える前に確認すべき場所の種類、つまり関連するメール、文書、スプレッドシートのタブ、記録を挙げておくべきです。
Anthropicの複数アプリを使ったテストでは、最初に幅広く探索させることでタスクの成功率が向上しました。一方で、ツールの呼び出しとトークンはわずかに増えました。要件が接続したアプリに散らばっている可能性がある場合にこの方法を使い、エージェントが必要な情報源にアクセスできることを確かめておきます。文書を見つけたからといって、その中の指示がすべて信頼できるわけではありません。

▲ 参考資料から分けた指示
4. 貼り付けた資料と依頼を分ける
プロンプトに貼り付けたメールのスレッドや記事は参考資料であり、Claudeへの新しい指示ではありません。両者が混ざると、埋め込まれた指示がタスクを混乱させたり、プロンプトインジェクション(外部のテキストがモデルの動作を別の方向へ向けようとすること)のリスクを生んだりします。Claude Opus 5.5は直接的なプロンプトインジェクションへの耐性が向上していますが、明確な境界は引き続き有用です。
通常のチャットでは、依頼を先に書き、その下に貼り付けた資料を参考テキストとして明示します。アプリケーションでは、開発者が外部のテキストのまとまりを、IDの付いた対になる境界で囲むことができます。目的は、ユーザーの業務上の指示と、モデルが読む必要はあるが従うべきではない資料とを区別できるようにすることです。
長いエージェント実行を軌道に乗せ続ける
5. 進捗のチェックポイントを設け、画面も確認する
長く複数の手順にわたるタスクの間、Claude Opus 5.5はツールを使う合間に進捗の更新を出すことがあります。アプリケーションがその更新を表示しなければ、作業が続いていても実行が止まっているように見えます。更新を受け取れない、あるいは表示できない画面の問題は、モデルにもっと話すよう求めても解決しません。開発者は、クライアントがそれらをどう扱っているかを確認する必要があります。
更新が表示されるタスクでは、文書を確認した後や下書きを作る前など、意味のある節目で報告するよう求めます。節目を決めたチェックポイントを設ければ、細かな手順のたびに会話を分けることなく進捗を把握できます。
6. 「完了」の意味を定める
モデルの応答が終わっても、エージェントの仕事が終わったとは限りません。無人で実行している場合、途中経過のメッセージで作業が未完了のまま止まることがあります。たとえばレポート、出典リスト、要約といった明確な完了条件をエージェントに与え、止まる前に各項目を確認するよう求めます。チェックリストが最も役立つのは、エージェントが項目を読み上げるだけでなく検証しなければならない場合です。
自動化されたワークフローについて、Anthropicは、エージェントが作業を終えるか、乗り越えられない障害にぶつかるか、人の承認が必要になるまで作業を続けさせるよう勧めています。進捗の報告は次のツール呼び出しの代わりにせず、それに添えることができます。成果物が欠けている場合は、Claudeにその部分を仕上げるか、何が妨げになっているかを説明するよう求めます。これは主に複数の手順を踏むエージェントに関係することで、質問ひとつで終わる単純なチャットには当てはまりません。
出力と根拠を具体的に指定する
7. 求めるデザインを言葉で示す
フロントエンドへの大まかな依頼では、ありきたりな見た目のページができることがあります。「もっと平凡でないものに」と頼んでも、別のありきたりなデザインになるだけかもしれません。代わりに、背景色、タイポグラフィ、見出しの大きさ、ボタンの形、枠線、余白といった目に見える条件を指定します。たとえばランディングページなら、白い背景、特大の黒い見出し、角張ったボタン、セクション間のゆったりした余白を指定できます。
参考となるスクリーンショットやブランドのデザイン設定があれば、さらに方向性を示せます。まず基本的なHTML/CSSの構造を作らせ、そのうえでスタイルを段階的に整える方法もあります。具体的なデザイン指示は有用なプロンプトの工夫であり、Claude Opus 5.5だけの機能ではありません。
8. 細かな視覚情報を読み取れるようにする
Claude Opus 5.5は、グラフ、図、技術的なスクリーンショットについて、Claude Opus 5より基本的な視覚の正確さが向上していますが、情報が密集した画像は依然として難しい対象です。混み合ったグラフの小さなラベルは、画像の精細さが足りないと誤って読まれることがあります。より高解像度の画像か、該当部分の拡大画像を用意します。画像ツールが使える環境なら、エージェントがその部分を切り出して確認できます。
ラベルが読めない場合は、おおよその数値を示すのではなく、読めないと伝えるようモデルに求めます。これは、答えがグラフ全体の傾向ではなく、小さな数値や注記に左右される場合に特に重要です。
合う場面から変えていく
まずデフォルトのMediumのeffort設定から始め、汎用的な思考指示を削ります。Claudeが複数のアプリをまたいで作業するなら、情報源の探索、外部テキストとの明確な境界、検証できる完了条件を加えます。画面の制作や情報が密集した画像を扱うなら、デザインを具体的に指定するか、読み取れる拡大画像を用意します。8つをひとつの長いプロンプトにまとめるのではなく、タスクに合う調整を選びます。