Gemini 3.8 Flash TTSを使えば、原稿を音声に変換するだけでなく、登場人物の声を文章で指定し、複数の候補を聴き比べ、台詞の演じ方まで指示できます。Google AI Studioには、声の作成と複数話者による対話の制作に必要な操作をまとめたプレイグラウンドがあります。関連モデルのGemini 3.8 Flash-Lite TTSも、公開されている音声品質ランキングで上位に入っています。
モデルのランキング
Hume AIの公開リーダーボードでは、自然言語の説明から声を作るVoice Design部門で、Gemini 3.8 Flash TTSが71.4点を獲得し、1位になりました。総合的な音声品質では、Gemini 3.8 Flash TTSとGemini 3.8 Flash-Lite TTSが上位2枠を占めました。ただし、ランキングは出発点にすぎません。制作する作品の言葉や雰囲気に声が合うかどうかは、実際に聴いて確かめる必要があります。

▲ 声の設計ランキング
このモデルで生成したサンプルには、親密に語りかけるASMR風のささやき、力強く芝居がかった話し方、低音の映画予告編風ナレーション、スペイン語とヒンディー語の音声など、幅広い表現があります。声を複製した例も含まれています。こうした表現から分かるように、声の設計は単に心地よい音を選ぶ作業ではありません。アクセント、話す速さ、声の質感、感情の込め方のすべてが、台詞の仕上がりを左右します。
独自の声を作って聴き比べる
Google AI Studioには2つの方法があります。Voice Designは文章による説明から声を作ります。Voice Replicationは録音された話者の音声をもとに声を複製しますが、利用できるかどうかは地域によって異なります。新しい登場人物を作る場合、Voice Designなら対話全体を書く前に、その人物の声や演じ方を指定できます。
- Google AI Studioのプレイグラウンドを開きます。モデル選択画面の音声モデルから、Gemini 3.8 Flash TTSを選びます。
- Voice Designを選びます。話者の年齢、アクセント、声質、話す速さ、感情面での振る舞いを説明します。設定例は、鋭い物言いで芝居がかった、ドライなユーモアを持つ50代の英国人女性建築評論家です。
- 説明を詳しくしたい場合は、Improve My Promptを使います。短い人物設定を、アクセント、リズム、声の質感などを含む指示に広げられます。
- 声を生成します。声の設計を実行すると、3種類の試聴用音声が作られます。同じものとして扱わず、それぞれの声の調子や発音を聴き比べます。
- 気に入った声を発話ブロックに割り当て、複数話者のやり取りの台詞を書きます。
話者を設定した後は、台本に演技指示も加えられます。Google AI Studioには、Whisper、Friendly、Narration、Promote、Podcastなどのスタイルがあります。[chuckle]、[laugh]、[cough]、**[cheer]**といった角括弧付きの指示は、台詞に直接書き込めます。これにより、合成音声の話し方を指定するマークアップ形式のSSMLを使わずに、声による表現を指示できます。生成された対話には、話し言葉に加え、感情を込めた抑揚や息遣い、笑い声も含められます。

▲ テキストで指示する音声表現
プレイグラウンドには、生成結果のばらつきを調整するtemperatureと、会話中のつなぎ言葉や間に関するFilter Wordsの切り替えスイッチもあります。まず基本的な声と台本を整え、その後でこれらの設定を試すとよいでしょう。ある台詞には会話らしい話し方が合い、別の台詞にはすっきりしたナレーションが合うかもしれません。
プレイグラウンドの外で声を活用する
Get Codeタブには、google-genaiライブラリを使ってプログラムから音声を生成するPythonコードが表示されます。これにより、試聴して選んだ対話をアプリケーションのワークフローに組み込めます。Googleは100以上の言語に対応する2,000種類以上の既製の声も提供しているため、声を一から設計することだけが選択肢ではありません。
用途としては、従業員向け研修動画、製品の操作案内、多言語コンテンツのローカライズなどが考えられます。最初に試すなら、対照的な2人の話者による短い台本が実用的です。一方の声を詳しく定義して3種類の候補を比較し、スタイルと感情表現の指示を一つずつ加えて、話し方がどう変わるかを確かめます。このワークフローの主な利点は、声の設計と対話の両段階で演じ方を調整できることです。次は、その調整が作りたいコンテンツに役立つかを、実際に聴いて判断する必要があります。