ChatGPT、Gemini、Claudeの最新アップデートを並べると、向かう先は一つです。AIアシスタントは専用のチャット画面を離れ、すでに仕事をしているブラウザーやオフィスアプリの中へ入り込みつつあります。ClaudeはGoogle Docs、Sheets、Slidesで、作業中のファイルのすぐ横に開くようになりました。ChatGPTはChromeで開いているページを読み取って操作でき、フォームへの入力からファイルの保存までこなします。OpenAIの音声モデルは6つの言語に新たに対応し、Geminiは外部サービスと連携できるうえ、画像がGoogleのAIツールで作られたかどうかを見分けられるようになりました。開発者向けには、はるかに高速なGPT-6.1の派生モデルと、入力のラベル付けや採点をより安く行う手段が加わっています。それぞれの変更で何ができるのか、どれが日常業務ですぐ使えるのか、どれは頼る前によく確かめるべきかを見ていきます。

ClaudeがGoogleのオフィスアプリに

Anthropicの新しいClaude for Google Workspaceは、ClaudeをGmail、Google Calendar、Google Driveにつなぎます。Chrome拡張機能をインストールすると、開いているドキュメントやスプレッドシート、スライドの端にClaudeがパネルとして現れます。別のタブにコピーしたテキストではなく、実際のファイルをそのまま編集できるわけです。

アプリごとの代表的な作業は次のとおりです。

  • Docs: 経営陣向けの人員計画を練り直し、見出しを整え、箇条書きを比較表に変換する。
  • Sheets: CSV形式で書き出した予算データを読み込み、実際の支出が計画からどれだけずれたかを計算し、予算を超えた部署に印を付けて集計表を作る。
  • Slides: Salesforceに記録された顧客メモとDriveのファイルを組み合わせ、四半期ビジネスレビュー(QBR)用の資料一式を仕上げる。

ClaudeのWebアプリには、左側のメニューから開ける独立したDesignセクションも加わりました。Google Workspaceがなくても、プレゼンテーション、画面レイアウト、コード、デザインシステム一式をClaudeの中で作れます。すでにGoogleのアプリで仕事をしているチームは主にパネルを使い、それ以外の人は同じ種類の資料をClaudeで直接作る、という使い分けになりそうです。

ChatGPTはブラウザーの中へ

開いているChromeのタブをChatGPTに任せる

公式の拡張機能をChromeに追加すると、ChatGPTからブラウザーが見えるようになります。依頼文に「@Chrome」と入れると、いま開いているページを読み、その内容をもとに答えます。たとえば、通販サイトのタブをいくつも開いてソファを比べながら、自分の部屋に合うのはどれかを尋ねたとします。ChatGPTは各商品のサイズ、張り地、価格を確かめ、最も合うと判断した1台を挙げます。

できるのは読むことだけではありません。ChatGPTはWebフォームへの入力、パソコンへのファイル保存、サイト内の移動もユーザーに代わって行います。最初は調べものや比較に使うのが無難でしょう。情報を送信したり何かをダウンロードしたりする操作は、結果を自分で確認するのが賢明だと思われます。

4つのブラウザータブに並ぶソファを、画面横に貼った部屋の間取り図と照らしてメジャーで測るロボット

▲ 開いたタブで商品を比べるAI

新しい音声モデル、対応言語が6つ増加

ChatGPT、dots、CodexのVoice Mode(音声モード)は、GPT-Live-1.1という新しいモデルで動くようになりました。声の選択肢が増え、ヒンディー語、韓国語、フランス語、日本語、ドイツ語、スペイン語(メキシコ)で滑らかに会話できます。何度も繰り返されていた「Checking…」という案内もなくなりました。この案内は、コードを自分で書く代わりに作りたいものをAIに説明してソフトウェアを作るバイブコーディングの流れを妨げていました。

新しい音声モデルはChatGPT Workでも使えます。マイクをオンにすれば、添付ファイルの確認、ワークスペース内のツールの操作、プラグインの実行を、手を使わずにChatGPTへ頼めます。

ChatGPT WorkのMCPアプリ

外部のプラグイン開発元や開発者は、AIモデルを外部のツールやデータにつなぐ標準規格Model Context Protocol(MCP)を使い、ChatGPT Work専用のアプリを作れるようになりました。一例が、YouTube分析サービスvidIQのアプリです。連携したチャンネルの最新投稿の反応と、同じジャンルで伸びているほかの投稿を表示します。キーワード画面では、検索語ごとの月間検索数、競合度、過去30日間の需要の変化がわかります。提案されたアクションを選ぶと、ChatGPT Workが裏側で調査を進め、より長期的な戦略案を返します。その際、処理を動かしているプロンプトはユーザーに表示されません。

Geminiにコネクタと、AI画像の判別機能

「Customize Gemini」という設定メニューで、カスタムスキルを有効にしたり、外部サービスを連携したりできるようになりました。用意された連携先にはGoogle WorkspaceのほかDropbox、Canva、Shopifyなどがあり、任意のMCPサーバーのアドレスを貼り付けて追加することもできます。チャット欄に「@」と入力すると、有効にしたスキルとコネクタがすべて表示され、名前を指定してすぐ呼び出せます。

その一つが@Verify AIです。GoogleのAIで作られたコンテンツを見分けるGoogleの技術、SynthIDを使っています。画像をアップロードしてAIで作られたものかを尋ねると、Geminiが調べます。パソコンのデスクトップを写したごく普通のスクリーンショットはGoogleのAIツールで作られたものではないと判定され、AIで作った人物写真はGoogle AIで生成または加工されたものと判定されます。

この境界は重要です。@Verify AIはGoogle AIが関わったかどうかはわかりますが、Google以外のどのツールで作られた画像かまでは必ずしも特定できません。Googleのツールは使われていないという判定は、AIがまったく関わっていないことの証明にはなりません。

デスクトップのスクリーンショットと人物写真に虫眼鏡を当て、写真に隠れた模様を浮かび上がらせる様子

▲ 画像の出どころの確認

Gemini 4 Argon、Googleの成績表では大半で首位

Geminiのモデル選択には、Gemini 3.1 Proなど従来の選択肢と並んでGemini 4 Argonが加わりました。Googleはこれを、ビジネス用途や何段階にも及ぶ推論に向けた新たな最上位モデルと位置づけ、複雑な財務報告書の読み込み、プレゼン資料の作成、テキストのプロンプトからの3Dモデル生成といった作業を想定しています。

Googleが公開した成績表では、同じ課題でモデルを比べる標準テストであるベンチマークの大半で、Argonが下の表のほかの3モデルを上回りました。

ベンチマーク Gemini 4 Argon Claude Opus 5.5 GPT-6 Astra Claude Fable 5.1
Vals Index 68.9% 67.0% 63.1% 65.8%
AutomationBench 51.3% 42.5% 41.4% 31.4%
Vals Finance Agent v2 65.4% 56.7% 53.5% 58.8%
DeepSWE v1.1 77.9% 74.2% 74.1% 67.4%
Vibe Code Bench 91.9% 90.3% 89.6% 90.3%
GraphWalks 256k 84.2% 66.8% 71.8% 65.0%
LVBench 91.7% 83.7% 87.5% 79.7%
FrontierSWE v2 55.0% 62.3% 65.5% 56.3%
Terminal-Bench 4.0 57.4% 66.4% 58.2% 57.9%

ただし、すべてで先頭に立ったわけではありません。Terminal-Bench 4.0とFrontierSWE v2では4モデル中最下位でした。GPT-6 AstraはTerminal-Bench Science 0.1で68.1%対57.6%、OSWorld-2.0で72.6%対69.2%とArgonを上回りました。PostTrainBenchではClaude Opus 5.5が49.3%対45.3%で勝り、セキュリティのテストであるCWE-Bench v1ではArgonとGPT-6 Astraが68.0%で並びました。これらは企業自身が出した数値であり、AIエージェントが自力でプログラミング作業をこなす力を測るFrontierSWE v2のようなエージェント型コーディングのテストでは、Argonが後れを取っています。コーディング用にモデルを選ぶなら、まず自分の作業で試すべきでしょう。

開発者向け、より速い出力とより安い判定

OpenAIはAPIにGPT-6.1 Ultrafastを追加し、GPT-6.1 Solと並べて提供しています。モデルが書き出す文章の小さな単位であるトークンを、Solの8倍の速さで生成します。トークン当たりの価格は高くなりますが、同じ時間でこなせる作業量が大きく増えるため、待ち時間が最大のコストになる大量の反復的なエージェント処理なら、割高でも見合いそうです。

開発者向けダッシュボードには、Decisionsというツールも加わりました。通常のチャット補完とは別の仕組みで、次の3つの方法で判定を下します。

種類 返すもの
Predicate ある記述が正しい確率を0から100のパーセンテージで示す。例:猫が落ち着いているように見えるか
Choice 指定したリストの選択肢ごとの確からしさ
Score 自分で定義した段階の尺度のどこに入力が当たるかを示す、較正済みの評価

Decisionsは完全な回答文を書かないため、ほぼ即座に応答し、大規模言語モデルに分類や確認を頼むよりはるかに安く済みます。アプリに必要なのがラベルや選択、評価だけなら、その呼び出しをDecisionsに切り替えるのは手軽な節約になりそうです。いまのところあまり注目されていないようですが、エージェントに小さなチェックを何度もさせている開発者は、ここで紹介したほかの何よりも先に試す価値があるかもしれません。

すぐ試すもの、先に検証するもの

効果が最も早く出るのは、毎日開いているソフトウェアに組み込まれたアップデートです。速度の主張やベンチマークでの勝利は、広く頼る前に自分の作業で確かめるものと考えたほうがよいでしょう。

アップデート こんな人に 最初の一歩
Claude for Google Workspace Docs、Sheets、Slidesで仕事をしている 予算の見直しや文書の整理など、すぐ確認できる作業から始める
ChatGPTの@Chrome 多くのタブを行き来して比較している 調べものや比較に使い、フォームとダウンロードは自分で確認する
GPT-Live-1.1の音声 入力するより話すほうが好き ChatGPT Workでファイル作業を声で頼んでみる
Geminiのコネクタと@Verify AI 多くのサービスを一つのアシスタントで扱いたい よく使うサービスを連携し、@Verify AIはGoogle AIかどうかの確認専用と考える
Gemini 4 Argon 何段階もある複雑な作業を任せたい モデル選択で選びつつ、自分のコーディング作業で比べる
UltrafastとDecisions APIでエージェントを作っている 速度が出力量を左右する処理にはUltrafast、ラベルや評価にはDecisionsを使う

3社の競争は、ベンチマークの点数と同じくらい、日常のソフトウェアの中での居場所をめぐるものになっているようです。次のモデル名を追う前に、毎朝開くアプリにこれらのツールのどれがすでに届いているかを確かめてみてください。