検索需要が大きいのに専用サイトがない分野は、公開データを整理したシンプルなディレクトリサイトで埋められます。しかも今では、その作業の大半をAIコーディングエージェントが担えます。最近のある事例では、Claude Codeを使い、車に合うヘッドライトバルブを調べられるディレクトリを、最初のデータ取得から約1,140ページ規模で設計した公開サイトまで仕上げました。この事例は、エージェントが作業を進めた範囲と、人がルールを決める必要があった範囲をよく示しています。ページより先にデータを作り、実際に検索されるものから埋め、薄いページを何万も公開しないことです。
ニッチを見つける:うまくいっている形を隣の分野へ移す
この手法は、新しい種類のサイトを発明するわけではありません。すでに検索で上位に入っているディレクトリの形を、隣接する分野へ移します。参考にしたのは、米国政府の燃費データを車種ごとに整理したサイトと、年式・メーカー・モデルを選ぶとワイパーの長さを返すワイパー検索サイトの2つです。キーワードの流入数や競合の強さを推定するSEOツールAhrefsによると、ワイパーのサイトは月に約4,500人の自然検索訪問者を集めていました。
ただしワイパーは$20 ~ $40と安く、交換頻度も低いため、アフィリエイト報酬は小さくなります。そこで、より有望に見えたのがヘッドライトバルブです。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 「headlight bulb」の月間検索数 | 8,100 |
| 関連キーワード全体の月間検索数 | 約68万4,000 |
| 関連キーワード数 | 50,228 |
| 標準的なハロゲンバルブの価格 | $15 ~ $25 |
| LEDアップグレードキットの価格 | $100 ~ $250 |
「H7 headlight bulb」のようなバルブ規格の検索語の多くはキーワード難易度が0で、すべてのメーカー、モデル、年式のヘッドライトバルブ規格を網羅したディレクトリは見当たりませんでした。GoogleのAI Overviewsは、ワイパーの長さのようなサイズの質問に検索結果の上部で答えることがありますが、ブランドの選択肢や購入先を探す人は、今もディレクトリをクリックしているようです。
データが先、それも無料の公開データだけで
作業ルールは明確でした。ディレクトリでは、フロントエンドのデザインやローカル開発サーバーより先に、データベースとデータパイプラインを作ります。このようなサイトの本当の資産は正確なデータだからです。
Claude Codeには、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の車両APIや環境保護庁(EPA)の燃費データといった公開情報を信頼できる情報源として扱うよう指示しました。するとClaude Codeは、業界の有料車両構成データベースのライセンス購入や、バルブメーカーとの提携を勧めてきました。この提案は退け、有料のサブスクリプション、ライセンス、ベンダー契約は一切検討しないよう追加で指示しました。無料の方法があってもAIアシスタントが高い選択肢へ誘導することはあるため、最初にコストの条件を示しておくと時間の節約になりそうです。
車両リストは政府データから、バルブ規格は公式の取扱説明書PDFから集めました。最初に2011年式Subaru Outbackの説明書で試し、Claude Codeが正しいバルブサイズを取り出せることを確かめています。4つの公開データベースを統合すると、1990~2027年式の年式・メーカー・モデルの組み合わせが12,254件になりました。オートバイ、バス、大型トラックを加えると元のリストは237,554件に膨らみ、そのうち乗用車、SUV、ピックアップ、バンは35,847件でした。
検索需要で順番を決める
公開前に23万件以上をすべて埋めるのは現実的ではありません。そこでAhrefsから検索数上位2,500件のキーワードをCSVファイルで書き出してプロジェクトのフォルダーに置き、Claude Codeにブランドグループごとの検索シェアで順位付けするよう依頼しました。キーワードは、どの車両をデータベースに入れるかを決めるものではありません。どの車両の情報を先に充実させるかだけを決めます。
Claude Codeは、プラットフォームとバルブ部品を共有する兄弟ブランドをまとめることを提案しました。一度確認した規格で複数の車種をカバーできるからです。
| ブランドグループ | モデル数 | 1行あたりの検索数 |
|---|---|---|
| HondaとAcura | 473 | 79.3 |
| HyundaiとKia | 989 | 55.4 |
| Stellantis系ブランド | 1,399 | 34.2 |
最初はHondaとAcuraで、情報源はメーカー公式の取扱説明書のような一次資料に限定しました。

▲ 検索需要順のデータ充実
クラウドサーバーで5日間の収集
数千冊の説明書を読む作業には数時間ではなく数日かかるため、ノートPCではなく常時稼働のクラウドVPS(仮想専用サーバー)で実行しました。Claude CodeはUbuntuサーバー上で動かし、CursorエディターからSSHで接続しました。サーバーは状態を保ったまま、利用上限がリセットされるたびに作業を再開し、5日間でエージェントに必要だった軌道修正の指示は5~7回だけでした。
最大の問題はディスク容量でした。PDFの説明書を丸ごと保存したことで100GBのディスクのうち29GBが埋まり、バルブのデータと説明書のURLだけを残す方式にスクレイパーを変更しました。
| 結果 | 値 |
|---|---|
| ヘッドライトバルブのデータ行 | 26,403 |
| カバーした車両構成 | 8,462 |
| 対象キーワードの検索数に占める割合 | 97.2% |
| 乗用車全体に占める割合 | 約24% |
| 出典としたメーカーの説明書 | 16,300冊以上 |
| 1,000行を対象にした4回の監査での誤り率 | 1%未満 |
乗用車の約4分の1をカバーしただけで、検索需要のほぼすべてを押さえられました。残りの大半は1990年以前の車、希少な高級スポーツカー、商用改造車など検索がほとんどない車両で、公開後に埋めていけます。
何万ページではなく約1,140ページ
データがそろったところで、Claude Codeにサイトのページ数を尋ねました。年式ごとに1ページを作ると何万もの薄いページが生まれ、検索エンジンがインデックスを拒否したり、ペナルティを与えたりするおそれがあります。エージェントは3層構成を提案しました。
- メーカー・モデルごとの柱となるページが約970。複数の年式をまとめ、各世代へのジャンプリンクを置く
- バルブ規格ごとのハブページが約50
- 単独の購入ガイドが約120
モデルページとバルブページが同じキーワードを奪い合うのではという懸念は、両者の検索意図が違う、つまり車両の検索とバルブの比較だというエージェントの説明で解消しました。ログインも決済も不要なサイトなので、Next.jsではなく軽量なAstroフレームワークで作り、Supabaseのようなホスト型データベースサービスも使いませんでした。
最初のレビューで変えたこと
最初のビルドでは、未確認の年式に「取扱説明書を確認してください」という案内が表示され、ショップのボタンは特定の商品ではなく一般的な検索結果を開くだけでした。2回目の指示では、未確認の年式を選択欄と表から隠すこと、サイト紹介と問い合わせのページを加えること、スマートフォンでも表を読みやすくすること、標準の交換用バルブに「おすすめ」の印を付けることを求めました。Claude Codeは5分足らずで、554のモデルページにあった未確認の年式2,577件を非表示にしました。
エージェントは、Amazon、Walmart、AutoZoneといった大手小売店が自動収集や画像の無断使用を禁じていることも指摘し、代わりにAmazon Associatesのような公式アフィリエイトプログラムとその商品APIを使うよう勧めました。そのため収益化は、サイトが検索順位とトラフィックを得るまで先送りしました。当面は、サイトのコード内に組み込んだクリック計測で、ショップのクリック、車両の検索、デバイスの種類を外部スクリプトなしで記録し、パスワードで保護した管理ページで7日、30日、90日単位で確認します。どの小売店のクリックが多いかが分かれば、最初に申し込むアフィリエイトプログラムを選べます。

▲ 柱ページ中心のサイト構成
デプロイはエージェントに任せ、秘密情報は人が扱う
コードは非公開のGitHubリポジトリに置いてVercelと連携し、人々の検索の言い回しに合うドメインを年$11.25で取得しました。公開前にClaude Codeが必要な入力項目を一覧にし、Google Analytics 4のプロパティとGoogle Search Consoleの確認レコードは人が作成しました。問い合わせフォームのメールには、無料枠で1日100通、月3,000通を送れるResendを使いました。
DNSレコードを管理画面に手入力する代わりに、Claude CodeはVercel CLI(コマンドラインインターフェース)を使いました。人がブラウザーで一度デバイスのアクセスを承認すると、エージェントはSearch Console用のTXTレコードを追加し、ルートドメインとwww付きのドメインの両方を接続して、wwwからルートへの恒久的な301リダイレクトを設定しました。手作業ではリダイレクトのループを起こしやすい設定です。一方、ResendのAPIキーは人がVercelの環境変数に暗号化された値として貼り付け、前後に余分な空白がないことも確かめました。テストメールで問い合わせフォームの動作を確認し、サイトマップのインデックスをSearch Consoleに送信しました。
公開後は1~2週間待つ
新しいディレクトリは1~2週間そのままにして、Search Consoleで「Honda CR-V headlight bulb size」のような目標の検索語に表示回数が出るかを見守ります。サイトの内容をGoogleが理解したように見えたら、リンク獲得を始めます。まさに同じテーマを扱っているブログに$50ほどを提示するほうが、無料のリンクを頼むより効果が出やすいとされますが、ドメインレーティングが0でトラフィックもないサイトのリンクにお金を払う価値はありません。AhrefsやSemrushが予算に合わない場合は、Claude CodeをDataForSEO APIにつなげば、洗練度は劣るものの方向性をつかむには役立つデータが得られます。
要点とやるべきこと
| Claude Codeが担ったこと | 人が決めたり確認したりしたこと |
|---|---|
| 公開データの探索と統合、説明書の収集 | ニッチの選定と、無料データだけを使うルール |
| キーワードデータの分析と収集順の提案 | 優先順位と公開のタイミングの決定 |
| サイト構成の提案、ページの構築と修正 | 最初のビルドのレビューと修正の指示 |
| DNS、ドメイン、デプロイの設定 | APIキーの入力、デバイスの承認、アカウントの所有 |
同じようなディレクトリを作りたいなら、次の順で進めます。
- すでに上位に入っているディレクトリを見つけ、より価格帯の高い隣接分野の検索数を確認する
- 無料の公開データと一次資料だけを使うよう、最初からエージェントに伝える
- 上位キーワードを渡して需要の高いデータから埋めさせ、サンプルで誤りを監査する
- 年式を柱となるページにまとめ、インデックスされやすい規模で公開する
- リンク獲得や収益化の前に、1~2週間はインデックスと表示回数を見守る